THE MOON
夜空に浮かぶ大きな月は、慈悲の面といわれる右側に向かって満ちていく途中です。地上にいる犬や獣は残忍性を表し、その下にいるザリガニは、さらに下等な本能の獣性を表します。月から滴り落ちる知性の雫が、そうした人間の本能を抑え込んでいます。
正位置「疑心暗鬼、不安、誤解、神秘的世界」
正位置で出た場合は、不安定な状況や落ち着かない関係、はっきりしない気持ちなどが原因で気持ちに不安や悩みが生じてしまう事を表しています。暗闇の中で先が見えず、迷いや不安を抱えます。白黒はっきりしない状況や、誤解を受ける事、三角関係も示します。
逆位置「順調、クリア、解消」
逆位置で出た場合は、不安定な状況や混乱した状況を乗り越え、明るい可能性のある将来や成功を収めることができる事を表しています。夜明けが近づき、周りが明るくなってきます。取り越し苦労の勘違いや不安、心配から解放されます。何事も視界良好でクリアになり、進むべき方向が見えて物事が順調に進むようになります。このカードは逆位置の方が良い方向性を示します。
絵の解説
空には苦悩の表情を浮かべた半月と三日月、そして満月が同時に描かれ、そのつきの下には正体不明の鬼火が多数描かれています。
地上では犬と狼が不安を感じて変化する月に向かって吼え、水面からはザリガニが、遠くへ続く道に向かって正に這い出そうとしています。
また、道の途中には、『世界』 への入り口であるゲートの建物が見えています。
月は満ち欠けにより形が刻々と変化する不安定な状況を表し、月の下の鬼火は何が起こるかわからないという未知なる状況を表しているのでしょう。
神の光ははるか向こうの山の彼方へと流れています。
あなたはそこを目指すために湖から這い上がったのです。
しかし、ヨーロッパでは狼は死や恐怖の対象でした。
古代エジプトでは犬は死を司る存在でした。
このままではあなたは狼と犬に食べられてしまします。
狼と犬はこの光を鬼火だと思い、恐怖を感じて吠えています。
これはあなたにとって好都合です。
彼らが恐怖におびえ、吠えている間にあなたは門までたどり着かなくてはなりません。
居心地の良い水の中から這い上がり、門までたどり着くのは試練です。
しかし門は区切りです。
門を超えればあなたはたくましく変身するのです。
神の光が降り注ぐ遠くの山へ続く一本の道。
それは金色の道です。
しかしザリガニは背が低いので道は見えていません。
もちろん金色に輝いていることも知りません。
それでもあなたは神の光の降り注ぐ方向へと向かうのです。
このように不安定で未知な状況でも、ザリガニは完全無欠の『世界』へ向かって道を歩んで行こうとしています。
月は太陽と三日月のようにも見えます。
この山の向こう、それは太陽がさんさんと降り注ぐ暖かで豊かな地です。
あなたはそこを目指すのです。