THE DEVIL
人間界の、最も墜落した世界を図示しています。山羊の頭を持ち、蝙蝠の翼をつけた悪魔のバフォメットが、右手を挙げて悪の祝福を送っています。頭につけた逆向きの五芒星と、逆向きに持った松明は、神への冒涜です。「法王」に相対するカードといえます。
正位置「欲望、依存状態、恐怖」
正位置で出た場合は、誘惑に負けている状態、悪魔に屈している状態を表します。「わかっているけどやめられない」アダムとイブが悪魔の精神に支配されています。悪事であると知り罪悪感を持ちながら、得られる快楽に依存していることを示しています。
逆位置「解放、断ち切る、楽になる」
逆位置で出た場合は、囚われていたことから解放された状態を示します。悪い状態に浸っていたことや、自分を縛り付けていたことから解放され自由になることを意味します。その解放はある日突然起こるのではなく、ごく自然の流れの中で訪れます。その後は、心身ともに清々しい開放感を味わえることでしょう。このカードは逆位置の方がよい状態を表します。
絵の解説
キリスト教の悪魔の一人であり、黒ミサを司る、山羊の頭を持ったバフォメットが、 アダムとイヴと見られる裸の男女を鎖で拘束しています。
アダムとイヴには角が生えており、表情も悠然としている様から、悪魔のしもべとして拘束されていると考えられます。
恋人のページに記した通り、 悪魔が蛇をエデンの園に忍び込ませ、イヴを誘惑してりんごの果実を食べさせ、二人を追放させた後にしもべとしたのでしょう。
しかし、拘束している鎖はゆるく、二人が自覚さえ持てば、悪魔のしもべから抜け出せることを示唆しています。
悪魔は物質欲、名誉欲、性欲など様々な欲にまみれています。
それらはもしかしたらあなた自身の欲望かもしれません。
悪魔の構図は【恋人たち】によく似ていますが、ふたりの視線が違います。
【恋人たち】の彼はあなたを見つめていましたが、【悪魔】ではうつろな表情で「もうどうせダメだよ」とあきらめています。しかし、あなたは凛とした姿で正面を向いています。あなたはつながれていることに気づいていないのです。
ふたりが悪魔から逃れるための手段はあなたが握っているのです。
【恋人たち】が恋愛の始まりなら【悪魔】は恋愛のあり方を変える時です。
【恋人たち】の天使は赤い羽根で情熱的に進むように教えてくれました。【悪魔】は白い羽根で最初(白無垢の状態)に戻ることを教えています。彼が悪魔でなく、あなたに縛られていると思ってしまっていなければよいのですが、、、
【法王】ではあなたは司祭に向かい、純粋に説教を聞いていました。神の領域にいつか行くことを切望していました。【悪魔】でのあなたは悪魔の方を向いていません。暗黒の闇に背を向けています。まだ悪魔から逃れるための手段があるのです。
【戦車】で若者は黒白二頭のスフィンクスを見えない手綱で従えていました。【悪魔】は能動的に束縛をしていません。あなたは台座につながれているだけです。